第3回情報交換会開催報告

 第3回岩手県医療福祉連携実務者ネットワーク情報交換会は平成28年10月22日にベリーノホテル一関にて開催いたしました。

 MSW・PSW、看護師、事務、行政など岩手県内の様々な機関で連携実務に携わっている132名の方に参加いただき、過去最高の参加者数となりました。

 

 当協議会は岩手県内各地の取り組みの情報交換をコンセプトに開催しています。今回も講演、シンポジウムは県内各地から、医師、看護師、ソーシャルワーカー、行政、訪問看護と様々な視点での情報交換を行いました。

 「この協議会は県内各地の取り組みの情報交換を目的としています。良い取り組みは『TTP(徹底的にパクり)』しましょう。」と世話人藤川の挨拶で開会しました。


地域包括ケアシステムを見据えた地域連携

基調報告

当協議会事務局よりこれまでの情報交換会の開催概要と「連携室の運営に関するアンケート」についての取りまとめた速報版の発表しました。

このアンケートはさらに内容を分析し、協力していただいた医療機関への情報提供のほか、学会等でも報告したいと考えています。


講演

「一関市医療と介護の連携機能強化型医療チーム「いわい西」の活動を通して~」

講師:一関中央クリニック 院長 長澤 茂先生

座長:県立千厩病院 院長 下沖 収 先生

 

講演では一関中央クリニックの長澤茂院長より、「機能強化型医療チームいわい西」の取り組み、「一関市の医療と介護の連携連絡会」、さらには「IJJ(一関自立ジジィの会)」などユニークな取り組みなどについて一関の歴史を踏まえながら医療と介護の現状について講演いただきました。

 講演の中でご紹介のありました、「東北フォーラム2016『どうする地域包括ケアシステム』なじょする?おらほの暮らし~」についてはこちらをご覧ください。


シンポジウム

テーマ「地域包括ケアシステムを見据えた地域連携」

座長:県立釜石病院 地域医療福祉連携室次長 阿部 誠 氏
県立磐井病院 地域医療福祉連携室 主任看護師 髙橋 里 氏

①   「包括ケア時代のICT連携」

県立磐井病院 副院長兼診療情報管理室長 中村 紳 氏

②   「退院支援について」

県立胆沢病院 主任看護師 氏家 育美 氏

③   「医療連携実務者ネットワークの効用」

県立宮古病院 医療社会事業士 湯澤 克 氏

④   「軽米町在宅医療介護連携推進事業の取り組みについて」

軽米町健康福祉課 上席主任看護師 内城 良子 氏

⑤   「地域包括ケアシステムにおける訪問看護の役割」

くくる花巻訪問看護ステーション 所長 平澤 利恵子 氏

 今回は行政、訪問看護もシンポジストとしてご登壇いただき、「地域包括ケア」を多角的に考えられる機会となりました。

 磐井病院の中村氏は多職種連携には①目標の共有化、②情報の共有化③職種間の相互理解と役割分担が必要との言葉には会場を大きく頷かせながらも課題を認識させる指摘でした。県内のICT連携の情報が網羅され、そのシステムの強み弱みを明示し、現状は質量に強みのあるシステムと即時性のあるシステムが分かれているが、そのシステム同士の連携も考えられつつあるという説明をいただきました。

 

 

 胆沢病院の氏家氏は診療報酬改定による退院支援加算1に関して、院内でどのように取り組んでいるかを説明いただきました。

 退院支援加算により退院支援部門が早期介入ができるようになったこと、これまではスクリーニングに該当せず見逃されていた支援ニーズに応えられるメリットについて患者の事例を通しながら説明いただきました。退院前訪問や退院後訪問も積極的に活用し、病棟に在宅の様子(笑顔)をフィードバックすることで病棟看護師のモチベーションにも繋がるとの報告でした。

 

 宮古病院の湯澤からは圏域内の医療連携実務者ネットワークの取り組みをを説明し、病院機能を知り、連携実務同士の顔を知り、悩みを共有するという連携実務者ネットワークの意義について説明しました。発表の中で紹介いたしましたNPO法人全国連携実務者ネットワークにつきましてはこちらをご覧ください。

 軽米町の内城氏からは在宅医療介護連携推進事業等に関わる事業の取り組みを説明しました。先進地視察で得たアイデアを地域に活かす実践を積極的に行っています。

 「研修会は首長を出す、懇親会をやる、記念撮影をする」を実践し、多職種や住民による包括ケアの実現に向け取り組んでいます。

 また、認知症ケアで注目されているユマニチュードの講演を開催した経緯を「ケアによって笑顔に触れることができる経験を通じ、介護職員のモチベーションにつながってほしいとの思いから開催した」との思いも語っていただきました。

 くくる花巻訪問看護ステーションの平澤氏からは地域包括ケアにおける訪問看護の強みを説明していただきました。医療保険と介護保険のどちらも関わる訪問看護は医療と介護の橋渡しとして機能できる強みを説明していただきました。

 ディスカッションではシンポジスト5人が登壇。地域包括ケアをキーワードに、同職種連携の必要性、多職種連携に広げるための視点の違いの理解など、本音で語り合いました。

 訪問看護や行政の視点が加わり、相互理解の必要性も再認識できる機会になりました。



次回は東北7県医療連携実務者協議会とコラボレーション。平成29年11月の開催をを予定しています。


Location

ベリーノホテル一関